セミって夜中は鳴かないし、日中も、ずーっと鳴いてるわけじゃないですよね。
セミが鳴くのに、何か条件があるのでしょうか?
セミは種類ごとの鳴く時間が決まっている
結論から言いますと、セミの鳴く時間帯はだいたい決まっているようです。
種類によっても、鳴く時間帯が異なります。
3年前、長男が小学校6年生のときの夏休みに、自由研究を手伝っていて気がつきました。
最初は、天気や気温によって、鳴いたり泣かなかったりするのかなぁ?と考えていて、鳴く時間帯はどのセミも同じだと思っていました。
ところが、近くの公園に足を運んで観察しているうちに、時間帯によって、鳴いているセミの種類に偏りがあることに気が付いたんです。
それから観察項目を追加して、種類ごとに鳴く時間帯を観察することにしました。
生息するセミの種類
私の家の近所はクマゼミが圧倒的に多く、ほかにはアブラゼミとツクツクボウシがいます。私が子供の頃は、クマゼミよりもアブラゼミの方が多く見かけたのですが、温暖化でせみの分布も変化してきたのでしょうか。
たま~にどこからかミンミンゼミがやってきて、鳴き声を聞くこともあります。ワンシーズンに1回聞くかどうかの低い割合ですが、子供の頃はテレビでしか鳴き声を聞いたことがなかったので、生の声を聞けて感激です。
さいたま市の健康科学研究センター『サイエンスなび』に種類ごとの鳴く時間帯やについて触れられていました。
さいたま市 健康科学研究センター サイエンスなび セミの初鳴き情報の結果(平成28年)について
平成28年のデータではありますが、さいたま市はクマゼミの生息数は少ないようです。
そして、ニイニイゼミやミンミンゼミが多い!
どこの地域でもクマゼミとアブラゼミが多く、そのほかは少ないのだと思い込んでいましたが…まさに、自分の常識は他人の非常識ですね。
わが家の自由研究
ここからは、長男が小学校6年生のとき(令和3年)に実際に取り組んだ自由研究について紹介します。
自由研究のまとめに必要な項目(基本構成)については「コツがわかれば簡単!【実例つき】自由研究の書き方・まとめ方」の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
※この自由研究では、「コツがわかれば簡単!【実例つき】自由研究の書き方・まとめ方」で紹介している構成の順番や見出しの文言とは少し変えてあります。
タイトル
タイトル
セミが鳴くとき鳴かぬとき~セミが鳴く条件~
研究の動機
研究の動機
夏と言えばセミ。暑い夏の間中、たくさんのセミが鳴いているが、よく考えてみたら、夜中にセミの声がうるさいと思ったことがない。セミは何時から何時まで鳴いているのだろうか?鳴いたり鳴かなかったりするのには何か条件があるのだろうか?ふと疑問に思い、調べてみることにした。
調べること
調べること
セミが鳴いている時間帯と条件
調べ方
調べ方
- 早朝・日中・夕方・日没後に近くの公園へ行って、セミが鳴いているかどうか調べる。その都度、天気・気温・湿度、周りの様子を記録する。※8/22~は種類ごとに調べる(観察対象はクマゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ)。
- 周りの様子やセミが木にとまっている様子などを後で確認できるようにするため、写真をとっておく。
最初の4日間(8/11~8/14)の観察の後、セミの種類によって鳴く時間帯が異なることに気づいたので、後の4日間(8/22~8/25)で観察項目を増やしています。
観察項目を増やすことを決めてから10日間くらい雨が降り続いていたので、前半と後半で日が空いています。
用意するもの
用意するもの
- 温度計
- 湿度計
- 記録用紙
- 筆記用具
- カメラ
予想
予想
- セミは、朝6時から夕方5時くらいまで鳴いている。
- 雨が降っているときは鳴かない。
- 気温が高すぎても低すぎても鳴かない(25℃~35℃の間で鳴く)。
- 湿度も高すぎても低すぎても鳴かない(50%~70%の間で鳴く)。
- 夜は鳴かない。
結果
下のような記録用紙を作って観察記録を書きました。
結果
<クマゼミが鳴いていた時間帯>
早朝~14時頃
<アブラゼミが鳴いていた時間帯>
午前11時頃~夕方
※街灯の近くで午後6時半頃と、午後9時半頃に鳴いているアブラゼミもいた。
<ツクツクボウシが鳴いていた時間帯>
午前10時頃~夕方
※街灯の近くで午後6時半頃に鳴いているツクツクボウシもいた。
<その他>
- 雨がひどいときには鳴いていなかった。
- 鳴いていた時の気温は25℃~35℃、湿度は44%~82%と幅があった。
- 公園の街灯近くの木で、午後6時半頃にアブラゼミとツクツクボウシが鳴いていた日があった。
- 家のそばの街灯にとまった2匹のアブラゼミが、午後9時半頃に鳴いていた。
※どの種類のセミも、鳴いていない時間帯も木にとまっていたので、「別の場所へ移動したために鳴き声が聞こえなくなった」というわけではない。
観察結果は、地域や時期、年によっても変わってくると思います。
クマゼミよりもアブラゼミが多い地域ではどうか?ミンミンゼミが多くいる地域ではどうか?7月と8月とでは結果が異なってくるのか?
ちなみに、この記事を書いている今は令和6年の7月半ばを過ぎたところですが、午後5時を過ぎても鳴いています。
追加調査をしてみないとわかりませんが、7月だと夕方でも鳴くのかもしれませんし、本来は夕方も鳴くけれど、自由研究をした年はたまたま鳴かなかった可能性もあります。
考察
考察
- クマゼミは鳴き声が大きく、同じ時間帯に鳴くとアブラゼミとツクツクボウシの声がかき消されてしまうので、鳴く時間をずらしているのではないか?
- 鳴く時間帯には、気温や湿度よりも天気や明るさが関係しているのではないか?
- 街灯にとまったアブラゼミが夜に鳴いていたのは、街灯の明るさで、昼間だと勘違いしたからではないか?
感想
感想
- 夜にセミが鳴いていたときにはびっくりした。
- 雨の中での観察は、びしょぬれになって大変だった。
- これまではセミの鳴き声をわずらわしく感じていたが、観察しているうちに愛着がわいてきた。
- 観察中にクマゼミの産卵を見ることができ、感動した。
観察中に偶然目にしたクマゼミの産卵シーンです。
おしりの先を木の幹につけ、離して少し上に上り、またおしりの先をつけて…と繰り返すクマゼミ。アシナガバチの縄張りだったのか、セミが頭をグイグイ押されていました。アシナガバチの妨害に負けずに卵を産み続けるクマゼミの姿に感動しました。
参考文献
参考文献
「ドキドキいっぱい!虫のくらし写真館6 セミ」高家博成監修,伊地知英信文,海野和男写真,株式会社ポプラ社,2003年4月
クマゼミ大集合!
去年の夏に見つけたクマゼミたち。
こんなにたくさんいるのに、一匹も鳴いていなかったんです。
これを見て、自由研究のことを思い出し、「今は鳴かない時間帯なんだなぁ」と理解しました。
なんて本能に忠実なんだろうと、健気に思いました。
長男の感想にもあったように、観察を続けていると、セミに愛着がわいてきます。
是非一度、せみが鳴く時間帯を意識して聞いてみてください。
ただし、セミが鳴く季節は暑いので、気温が高い時間帯の観察は避け、熱中症にはくれぐれも気をつけてくださいね。
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